こんにちは。
日中の日差しはだいぶ暖かくなってきましたね。花粉も飛び始めたようですが。
今日は口腔ケアについて考えてみます。
口腔ケアということばを聞いたことがある方は多いでしょう。専門職にとっては日常的に行っている処置行為でもあります。
その有効性は科学的に証明されており、誤嚥性肺炎をはじめとしたさまざまな疾患の予防効果、摂食嚥下機能保持に対する有効性、さらには認知機能維持に対する効果などが報告されています。
緩和ケアの領域でも、口腔ケアがQOL向上に有効であることが示されています。
在宅緩和ケアにおいては、家族さんはケア提供者の役割も担うことになります。家族介護と在宅緩和ケアは重なるところが大きいのです。
ターミナル期になってくると、医療行為よりむしろ身体的ケア、日常生活ケアの方が重要になってきます。1分1秒がとても貴重なもにになります。家族さんの役割はその分大きくなります。
お別れの時が近くなると、ご本人は眠っている時間が長くなり、食事や水分の摂取量は減っていきます。おしゃべりも減っていきます。
そんな様子を見ているのはとてもつらいことですが、ご本人の感じるつらさは小さくなっていくことがほとんどです。そのあたりは少しホッとしてもよいのかもしれません。
そんなときに、誰でもできて苦痛緩和に効果的な行為が、口腔ケアです。
患者さんご本人の身体的苦痛は小さくなっているかもしれませんが、経口摂取が減ることによる口腔内の乾燥や唾液の飲み込み不良、痰の排出不良などにより口腔内の環境は悪化し不快感が増してしまいます。お口の中をこまめにきれいにして潤いを与えてあげることにより、さっぱりとして気分がよくなります(なると思われます)。
ごしごしと洗浄するというよりはゆっくりとそっとマッサージするという感じでよいのです。マッサージって気持ちいいですからね。
そして何よりも大事なのは、口腔ケアを行うときに患者さんの顔をしっかり見て気持ちを込めることです。できれば思っていることを(心の中にとどめておくのではなく)口に出して言葉にして話しかけながらケアしてあげましょう。特に、離れて住んでいるお子さんが訪問してくれた時や、普段は仕事のために介護にはあまり携われない方々にやってもらうのが効果的です。照れくささやお別れのつらさから、なかなか間近で顔を見れないというときに、口腔ケアは有効なのです。
これはご家族にとってのグリーフケア(ビリーブメントケア)にとても重要で効果的な初めの一歩になります。
5分や10分だけでもいいのです。
いずれかけがえのない思い出、宝物になります。