こんにちは。
またまた寒気がやってきて冷たい北風が吹いています。
先日ちょっとだけお金の話をしました。
このブログではお金と政治の話はできるだけしない(苦手なので)ようにしてきましたが、高額療養費自己負担限度額増額問題には強い憤りを感じているので、もうちょっとだけお金の話をしてみたいと思います。
政府・行政が意図するところ(国民の保険料納付の負担を軽減すること)は理解できますが、そのための方策としては完全に間違っていると思います。
政府の稚拙なやり方(面倒な手続きを経ずに改定できることをやる)は本当に腹立たしいですね。
とりあえず政治批判はここではしないことにします。
建設的な方向として、社会保障費削減について考えてみます。
社会保障費、中でも医療費を削減するためには無駄な医療を減らすという考え方は至極まっとうです。
そこで、アメリカで活躍されている医療政策学者の津川 友介氏のnoteを紹介します。
【国民の健康を犠牲にすることなく、2.3~7.3兆円の医療費削減が実現可能な「5つの医療改革」】
という記事です。ぜひ全文お読みください。
その中で示されている5つの医療改革というのは、
1. 70歳以上の窓口自己負担割合を一律3割負担とする(1.0~5.1兆円の医療費削減効果)
2. OTC類似薬を、保険収載から外す(3200億円~1兆円の医療費削減効果)
3. 無価値医療を保険収載から外す(9500億円~1.2兆円の医療費削減効果)
4. 外来を包括支払制度にする
5. エビデンスに基づく予防医療を保険収載する
というものです。
それぞれエビデンスに基づいて示されており、マクロ的には完全な正論でしょう。
ただ、われわれ臨床医としては100%賛成とは言いにくい部分もあります。特に高齢者の自己負担割合を一律3割負担にするというのは、マクロ的にはそれによる健康被害はわずかとされていても、ミクロ的、すなわち個々人の事情を考えると看過しづらい影響が出る人が少なからずいるのは間違いありません。特に訪問診療は外来診療に比べ医療費が高く設定しているので、その分影響が大きくなります。
実効性の大きい措置だけに悩ましいところです。もし実現するとしても、真っ先には行わないでもらいたいところです。
ぼく個人としては、まず先に2番の「OTC類似薬を保険収載から外す」というのを実行してほしいと思っています。これによって今回の高額療養費増額問題は解決可能と思われます。健康被害も非常に小さいものでしょうし、薬剤師さんの役割も大きくなるでしょうし、プラス要素が大きいと思われます。
しかしながら、日本医師会はこれに真っ向から反対を表明しています。いわく「セーフティーネットを毀損しかねない」とのことですが、意味が分かりません。大変失望しています。
今日はこの辺でやめておくことにします。