こんにちは。
冬らしくなりましたね。
先日、情報共有について考える機会があったので、今日はそのあたりを文章にしてみます。
この業界には『在宅療養を支える多職種間でどのようにして情報を共有するか』という解決困難な永遠の課題があります。そこには下記のような特徴があります。
1.共有したい情報は完全に個人情報であり、厳重な管理が必要であり、共有の仕方によっては個人情報保護・守秘義務等の規則にに抵触する場合もある。
2.多くの情報は、それを理解するために(時に高度な)専門知識を要する。専門性や知識量の異なる人同士で共通の理解を得ることは難しい。
3.情報を提供・共有するためには大きな労力を要する。
といったところでしょうか。
ICTの発展によって、さまざまな情報共有ツールが開発されていますが、それでもなお現場では『FAX』が主役の座を譲りません。
FAXにはいくつかの問題点がありますが、それをはるかにしのぐ使いやすさがあります。
最近、セキュリティーを担保したクローズドなSNS(MCSなど)を利用する機会が増えています。
ある患者さんに関してグループを設定し、承認された参加者のみがチャット形式で情報を共有するものです。参加者全員が、端末さえあればどこででも同一の情報を入手することができます。
しかしながら、医療情報というのは先ほどお示しした特徴の2.を色濃く有しています。情報を共有する者間の専門的理解度により情報の重要性や意味合いが変わってしまったりします。職種による差が大きく表れるのが特徴です。
たとえばFAXなら、送付先が医療機関か、薬局か、訪問看護ステーションか、ケアマネージャーさんか、などにより文章をちょっとずつ改変したり、メモ書きで説明を付け加えたり、というような工夫が可能です。
情報のオーダーメイド化が容易なのです。SNSではこれは困難です。
『適切な情報共有』というのは、関係者全員が同じ情報を共有するという意味ではないのです。関係者それぞれが個別にかつ必要十分な情報を共有するということなのです。非常に困難な作業です。
SNSの時代に新たな問題を突きつけられている感じです。
ただ、考え方は単純です。
目的はただ一つ、『患者さんのQOLを維持・向上すること』ですから。
そこさえぶれなければ、うまくやれるはずです。