こんにちは。
今日は非癌疾患の緩和ケアということを考えてみます。
WHOの定義によれば、緩和ケアは『生命を脅かす疾患』に対するものであり、癌という限定はありません。
日本では、緩和ケアの主体であるところのホスピスがその対象を『癌とエイズ』の方に限定したことにより、緩和ケアというと癌疾患に限定して考えがちです。そのため、日本の非癌疾患に対する緩和ケアは、欧米に比べだいぶ遅れをとっているようです。しかしながら、日本は高齢化の進行に関しては欧米を一歩リードしているわけですから、早急に非癌疾患に対する緩和ケアを普及させねばなりません。
緩和ケアが必要な非癌疾患の方に接するチャンスが最も多いのは在宅医である、と言って過言ではないでしょう。在宅医は日ごろから、癌の方にも非癌の方にも在宅緩和ケアを提供しているのです。
当院で在宅看取りになった方の約3割は非癌疾患の方でした。
最近ではようやく循環器、呼吸器、神経内科、腎臓疾患などの専門領域において緩和ケアに関する提言やガイドラインが策定されるようになってきました。
臓器不全における終末期の緩和ケアに関するエビデンスも示されるようになり、われわれ現場に立つ者にはありがたいことです。
あとは使える薬剤が増える(保険適応が認可される)ことを切に願っています。