進行癌の患者さんにオピオイドを使うことは、在宅でもよくあります。
残りの時間が短い方が多く、その調節には細心の注意を払います。
内服薬管理が基本ではありますが、在宅では病院よりも服薬管理が難しい面があります。
高齢であったり、認知機能の低下があったり、独居だったりで、定時服用も臨時服用(レスキューと言います)もこまめにサポートしないと、なかなか十分な鎮痛管理ができません。
さらには副作用対策の問題もあり、一筋縄ではいかないのです。
また、取扱いの問題もあります。
オピオイドの用量調整(タイトレーションと言います)を行うために、頻回に訪問して少量ずつ処方することもありますが、その都度誰かが調剤薬局さんに行かなくてはならないし、調剤薬局さんに在庫がなかったり、土日祝日にかかったりすると、目論み通りの用量調整ができなかったりします。
それを見越して多めに処方するのも、取扱い上問題がありますし、難しいところです。
疾患の性質上、内服自体が困難になったり、内服しても吸収に問題があったり、嘔吐してしまったり、などで内服薬継続が困難になり、方針変更を余儀なくされることもあります。
経皮吸収型のフェンタニルパッチ製剤が普及して以降、だいぶ対処しやすくはなりましたが、突発痛に対する対応をどうするか(レスキュー製剤に何を使うか、本人、介護者に正確な取り扱いができるのか)など、やはり問題は残ります。
そこで、在宅でも持続皮下注射という手段をとることを考えます。
これにも機材の準備、薬剤の調達、薬剤更新の手順など乗り越えねばならない問題はあるのですが、様々な工夫と関係者の努力でこなしています。
PCA(patient controlled analgesia)という装置を備えた注入用ポンプを使用します。これは突発痛発生時にPCAボタンを押すことで、薬剤を一定量早送りして対処するものです。
ボタンを押すだけなので、高齢者や独居患者さんでも簡単に行えます。
当院では、積極的にこの方法を行っています。
ご本人の体の状態に合わせ最適な方法を選びながら、少しでも苦痛の少ない日々を送っていただき体と思っています。