在宅医療と民間療法

在宅医療を受ける方で、民間療法も同時に受けている方、結構おられます。

がん疾患で在宅医療を受ける方の多くは、抗がん剤などの積極的治療は終えられていることが多いので、「これから先は緩和ケア対応でー」と言われても、なかなか受け入れ難いのでしょう。

そしてその民間療法は通常、医学的根拠に乏しいものです。

少なくとも、がん治療に関する科学的根拠(エビデンスと言います)を示せる治療法は皆無と言ってよいでしょう。

 

では、それらの民間療法は受けるべきではないのでしょうか?

僕は緩和ケア的効果を望むのであれば、受けることは構わないと思っています。

どのような民間療法でも、それを受けることによって心の安らぎを得られるのであれば、無価値ではないと思います。(費用対効果に関しては、価値観は人それぞれなわけですし。)

 

要するに、判断基準は『心の安らぎが得られるかどうか』です。それしかありません。

もっと言えば、『つらい思いをしてまで受けるべきではない』ということです。

その療法を受けることに精神的身体的苦痛を感じるのであれば、全く無意味だと思います。無意味どころか害悪でしょう。

 

ですから僕は、民間療法を受けておられる方々には「それを受けることで気持ちが楽になるのならどうぞ続けてください。ただし、つらくなったらやめるべきです。そのつらさを打ち消すほどの効果はないと思いますよ。」とお伝えしています。

さらには、「つらいからやめたいと申し出たときに、いろいろ理屈をこねてやめさせてもらえないとしたら、それは間違いなくインチキです。」とも言ったりします。

 

貴重な時間を少しでも安楽に過ごしていただきたいと願っています。