こんにちは。
GW中ですね。
今日は看取りについてのお話です。
在宅医療と在宅看取りは深い関係があります。
「在宅医療の目標は在宅看取りである」という人もいますが、僕はそうは思いません。
「在宅看取り率が低い在宅医は二流だ」という人もいますが、僕はそうも思いません。
在宅医療の目標はあくまでも「穏やかに生きること」です。
その先に「死」があるのは避けられないことですが。
だから僕は、「在宅看取りはゴールではあるが、目標ではない」と考えます。
「ゴールと目標は違う」と思うのです。単に言葉遊びかもしれませんが。
『目標』はゴールに到達するまでの間に目指すべきもの、だと思うのです。
目標とゴールが別物だとして、より重要なのは『目標』だと思います。
そしてこの場合のゴールは、残念ながらすべての人が到達せざるを得ない場所です。
そう考えれば、ゴールが在宅なのか、病院なのか、ホスピスなのか、重要視する必要はありません。
ゴールに到達するまでどのように過ごしたか、が重要なのです。
「死に目に会う」とか「会えない」とかいう言葉がありますが、これも重要なことではないと思っています。
大事なのは、ゴールである『死』に至るまでの間に、どのような時間を過ごしたか、です。
ご家族の立場から言えば、「どのような姿を死に行く人に見せてあげたか」だと思うのです。
だから僕は、大切な方が死にゆくとき、ご家族の方々には「できるだけ普段通り過ごしていてほしい」と話しています。そうすれば、「安心して旅立って行ける」と思うのです。
仕事をされている方には、できるなら仕事を休まないでもらいたいと思っています。そして、出勤の前にいつも通り「行ってきます」とあいさつして、出かける姿を見せてあげてほしいのです。
いつも通りに頑張っている、あるいはいつも通りに楽しく過ごしている姿を見せてあげるのが、はなむけには最適だと思うのです。
そういう意味で、在宅療養というのはいいものです。
死にゆく大切な方に、ご家族の日常生活を見せてあげる、感じてもらうことができるのですから。
日常の中に『死』がある、というのが最も自然なことではないでしょうか。